魅惑のマンホール、可愛い単管バリケード

日本各地・世界各地のマンホール蓋を中心に、単管バリケードも紹介します。街路樹保護盤やピクトグラム、救命ブイなど、様々なカテゴリーの記事をアップします。

映画「巡礼の約束」~チベット族にとっての「約束」の意味~

来年2月8日から、岩波ホールはじめ全国で公開予定の映画「巡礼の約束」の試写会に行ってきました。

 

moviola.jp

 

ラサに巡礼に行くという約束が、亡き夫から妻へ、妻から二番目の夫へと受け渡されていきます。チベット高原の東にあるギャロンを五体投地で旅立った妻ですが、心配した二番目の夫は妻を追いかけ、そこに最初の夫との間の息子も合流し……。

 

きれいごとだけではない映画です。言い出したら聞かない妻。妻の実家に預けられていたことで、心を閉ざしている息子。最初の夫への嫉妬を断ち切れない二番目の夫。でもそれぞれが、旅を通じ変わっていきます。

 

 

途中から、フィクションだということを忘れ、ドキュメンタリーのように感じていました。それだけ、全員の演技が自然だったのです。二番目の夫役のヨンジョンジャ(歌手だけど、演技は初めて)も、息子役のスィチョクジャ(監督に「目が良い」という理由で選ばれた素人)も、そしてロバも……。

 

上映後、監督のソンタルジャと主演のヨンジョンジャのトークショーがありました。

 

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ヨンジョンジャ(左)とソンタルジャ

二人ともチベット族ですが、トークは中国語(標準語)で行われました。面白いことを言った時、通訳を待たずに笑っているお客さんがいました。中国語が分かる人だったのでしょう。私が聞き取れたのは、「大家好(タージャーハオ、皆さんこんにちは)」くらいです。

 

心に残ったのは、「漢族は紙に書かれた約束を大事にするが、チベット族は口に出した約束を大事にする」という言葉。当たり前のことではありますが、自分たちチベット族は漢族とは別の民族、という意識があるのだなぁと思いましたし、何よりも「口に出した約束は大事」というのが印象的でした。日本風に言えば、言霊の感覚に近いのでしょうね。その考えを踏まえて映画のストーリーを思い返すと、深さが全く違います。

 

あと、仔ロバの名演技の舞台裏も明かされました。カメラの後ろに、母ロバがいたそうな。

 

機会があれば、ぜひご覧ください。