魅惑のマンホール、可愛い単管バリケード

日本各地・世界各地のマンホール蓋を中心に、単管バリケードも紹介します。街路樹保護盤やピクトグラム、救命ブイなど、様々なカテゴリーの記事をアップします。

映画「ヒトラーへの285枚の葉書」~大海に落ちた、1滴の水~

第二次大戦中のドイツにおいて、政権批判の葉書(カード)を書いては密かにベルリンのあちこちに置いた、実在の夫婦をモデルにした映画です。実際には妻の兄弟が戦死したそうですが、映画では息子を失った夫婦ということになっています。

 

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夫婦のやることが非常に素人っぽく、いつバレるかとはらはらします。2人の行動はドイツを変えることはできなかったけれど、でも大海に1滴の水は落としたのかも。18枚のカードは警察に届けられなかったわけで、それは回収率が予想の95%を辛うじて下回ったことを意味します。何よりも、捜査の過程で結果的にすべてのカードを読んだ警部の心を揺らす効果はありました。

 

 

 

反ナチ・反ファシズムの通信を発行したミュンヘンのショル兄妹を扱った、「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」という映画もありますが、彼らのような存在を映画で取り上げることは、一歩間違うと「当時のドイツにも良心はあった」という言い訳のようになってしまう危険もあります。でも、なかったよりは良いのだと思います。

 

一つ難を挙げるとすれば、セリフが英語なこと。いろいろ理由はあったのだと思いますが、ドイツ語にしてほしかったなぁ。英語だと、どうしても入り込み切れなかったので。まぁやりきれない内容の映画ですから、距離を取って観られるという意味では良かったのかもしれませんが。

 

暴力シーンは最小限であるにもかかわらず、あの時代の残酷性が逆に暴き出されている、良い映画です。あんな時代はもう、人類として繰り返すことは許されません。