魅惑のマンホール、可愛い単管バリケード

日本各地・世界各地のマンホール蓋を中心に、単管バリケードも紹介します。街路樹保護盤やピクトグラム、救命ブイなど、様々なカテゴリーの記事をアップします。

『そうだ、ローカル線、ソースカツ丼』(東海林さだお)~絶版になるのが早すぎる~

本の紹介のためにリンクを貼る時、ささやかながら出版文化を守るため、私は新品のものにするようにしています。もちろん興味を持ってくださった方が実際にお買いになる時は、中古のものを選択していただいても一向に構いませんし、何でしたら図書館でお借りになるのでも結構です。

 

 

この本も、もちろん新品のもののリンクを貼ろうと思ったのですが、すでに絶版のようでした、私が読んだのは2008年発行のハードカバーで、その後2011年に文庫版が出ているのですが、文庫版から10年経たずして絶版とは……。いや、別にこの本は常に書店の書架に置くべき傑作というわけではありませんが(失礼!)、それにしても早すぎなような気がします。

 

気を取り直して、感想に行きます。東海林さだおの本はたまに読みますが、ゆるさが良いですね。寝る前とか乗り物の中とかで読むには、もってこいです。今回印象に残ったのは、全3回にわたる「身辺雑貨雑物辞典」。『広辞苑』で身近なものを引いての突っ込みで、赤瀬川源平の『新解さんの謎』に通じるものがあるのですが、結構おかしかったです。確かに、歯ブラシやヘアブラシの説明の簡潔さに比べ、歯磨きや石鹸の説明の必要以上に専門性が高く長いこと! 東海林さんの、「石鹸業界は、辞書業界に菓子折りを持って行ったのだろうか」という言葉に同感です。

 

 

思いがけず勉強になったのは、椎名誠との対談の中の椎名誠の指摘。森林限界である北緯66、67度以北では苔ぐらいしかないので、人間はビタミン不足に陥ります。でもカリブーさんが苔を食べるので、そのカリブーを殺し、胃の内容物を食べれば、人間も苔を食べられるわけ。ほどほど消化してあり、胃酸の酸味もついているので(!)、それをカリブーの生肉につけて食べるとか。だいぶクセがあるそうなので、食べてみたいとは思いませんが、生きるためのイヌイット(エスキモー)の知恵ですね。ちなみにエスキモーは「生肉を食べる人」を意味するため、カナダでは「真の人間」を意味するイヌイットと呼び変えるようになったわけですが、椎名さんによればイヌイット自身は、生肉は美味しいので、別にエスキモーと呼ばれても苦痛は感じないとのことです。ちょっと考えてしまいました。