吉原遊郭跡の街歩きツアーの予習として読んだのが、樋口一葉の『たけくらべ』です。舞台が吉原のすぐそばな上、ヒロインの美登利の姉は吉原の遊女なので(美登利自身、いずれは遊女になるさだめ)。
で、感想はというと……。うーん、なぜこれを森鴎外は絶賛した? すごく読みにくかったです。文語だろうと旧仮名遣いだろうと、するする読める作品も多いですが、これは文章にリズムが感じられないのもあり、疲れました。なんとなく私の中で、森鴎外のポイントが下がりました。
そして『たけくらべ』は、登場人物のキャラが立っていないのが、結構痛い。美登利と僧侶になる運命の信如との淡い恋がメインテーマですが、信如以外の少年たちが、誰が誰やらよく分からない。正太郎、三五郎、長吉の誰が横町グループで、誰が表町グループなのやら……。
しかも美登利と信如の恋より、美登利を慕う正太郎のほうが、よく描き込んであると思うんですよね。正太郎と美登利の話として書いたほうが、面白かったのでは?
そんな感想を抱き、街歩きツアーの後に、一葉の旧宅跡にある一葉記念館に行きました。そうしたら、私の感想とは逆に、『たけくらべ』には「文章のリズムがいい」という評価があるようです。うーん……。
まぁkindleというか青空文庫で読めば無料なので、ご興味があれば、ご一読ください。