私の座右の書の1冊が、パウロ・コエーリョの"The Alchemist"です。『アルケミスト 夢を旅した少年』の題で日本語訳もありますが、私が所持し、何度も読んでいるのは英語版の方なので。
『星の巡礼』は、"The Alchemist"が良かったので、コエーリョの他の著作にも興味を持ち、本屋で手に取ったものの、あまりにスピリチュアル色が濃すぎて受け付けず、書架に戻した記憶があります。
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最近、たまたま『星の巡礼』がサンティアゴ巡礼の本だと遅ればせながら知り、読んでみることにしました。一応、サンティアゴ・デ・コンポステーラには行ったので。
最初に本屋で『星の巡礼』を手に取った当時は、多分サンティアゴ巡礼について知らなかったと思います。せっかくなので、25周年記念版で読んでみました。
結論から言うと、やはり最初のイメージ通り、スピリチュアル色が濃すぎでした。サンティアゴ巡礼のガイドブックとしては、あまり役に立たないと思う。キリスト教系の秘密結社の儀式で剣を得ることに失敗したコエーリョが、自分の剣を取り戻すために徒歩でのサンティアゴ巡礼に挑むのですが、ちょっと信じがたい(でも本当に起きたことなのだとは思いますが)様々な試練に見舞われます。
かといって、読んで無駄だったとは思いません。25周年版なので、文庫なのに表紙がハードカバーなので、かえって持ちやすく読みやすかったですし、活字の色が黒ではなく濃い藍色なのも目に優しくてグッド。心に残る言葉にも、いくつか出会えました。
教えるということは、ただそれが可能だということを示すことなのだ。学ぶということは、それを君自身にとって可能とすることだ。
君は教えることによってのみ学ぶことができる。(中略)君を教えながら、僕は本当の意味で学んでいたのだ。ガイドの役割を果たすことによって、僕は僕自身の真実の道を発見することができた。
いずれも教員として、心に留めておくべき言葉だと思いました。
そして何よりも大事なのは、以下の言葉。
私たちが何かを望む時、私たちは心の中に、何が目的でそれが欲しいのか、はっきりとした考えを持っていなければならない。
言われてみれば、本当にその通りですよね。でもつい、剣を手に入れることのみを求めてしまったコエーリョのように、何かを手に入れること自体が目的化してしまいます。そのことを再認識するために、読むべき本だったのかなと思います。