2度の千日回峰行を達成した、比叡山の大阿闍梨の言葉をまとめたものです。
というと、すごーくありがたい本のようですが、読んで感じるのは酒井さんの徳の高さではなく、案外普通のおじさんだということ。一度、機会があってダライ=ラマ14世の講演を聴いたことがあるのですが、その時も「意外と普通のおじいさんだなぁ」と思いました。もちろん、だからといってガッカリしたわけではなく、やはりお話はありがたかったですが。酒井さんの場合は、下手したら前半生は、普通以下のダメなひとだったとも言えます。
だからこそ、その何気ない言葉が胸を打ちます。この本のキーワードは、「ぐるぐるぐるぐる」です。ぐるぐるぐるぐる、毎日同じことを繰り返し、そこから道が開けていくということ。とはいえ、ただただ何も考えずに繰り返すのではなく、「何のためにそれをするのか」は考えなければなりません。そして、学ぶことと実践することが、両輪でなければいけない、と。
書いてあるのは実は普通のことですが、空疎な言葉ではなく、人生に裏打ちされているから、その言葉が胸にしみるのかもしれません。だからこそ、2008年発売のこの本が、10年以上経っても売れているのでしょう。私が手にしたのは、2019年3月印刷の32刷でした。
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