この本の題名には、2つ間違っている点があります。
1.これを読んでも、『21世紀の資本論』のほんのさわりしか理解できない。
ピケティへの独占インタビューも載っているものの、基本的には『21世紀の資本論』を題材に、数人の専門家が持論を展開するというものなので。
2.30分では読めない。
私は割としっかり読み込む必要があったので、小1時間かかりました。
それでもこれ、お勧めです。4年前の本ですが、全然古くないし、むしろタイムリーとさえ言えるくらいです。 ピケティが主張するのは、格差縮小のため、所得ではなく資産への課税を重視すべきだということです。それも国レベルではなく、世界規模で累進課税制度に基づいて行うべきということ。そうしないと、格差はますます拡大し……。そして上位以外の階層の不満が、移民労働者などのスケープゴートに向かうって、まさに現状を指していますよね。第二次世界大戦前だって、そうだったし。
あと救いがないのは、日本は格差拡大というより、「みんな仲良く転落社会」に向かっているという指摘(+_+)
でも、資本主義と民主主義はイコールのように思われがちだけどそうではなく、資本主義は民主主義に隷属するものである、という指摘は、ささやかだけど重要な希望ではないでしょうか。つまり格差社会をどうにかするには、フランス革命を起こす必要はなく、きちんと民意を政治に反映させるべき、要するに選挙権をきちんと行使すべき、という風に私は受け取りました。
現状に不満を言ったり、ましてやその不満を国内の弱者に向けている暇があれば、投票所に足を運んだ方が建設的ではないでしょうか。