魅惑のマンホール、可愛い単管バリケード

日本各地・世界各地のマンホール蓋を中心に、単管バリケードも紹介します。街路樹保護盤やピクトグラム、救命ブイなど、様々なカテゴリーの記事をアップします。

映画「雨あがる」~伊兵衛は果たして仕官したのか~

寺尾聰演じる三沢伊兵衛が、妻と共に「雨あがり」を待つ話です。それには2つの意味がありました。表面上は、長雨で川止めになってしまい、宿で足止めされているため、現実に雨が上がるのを待つという意味です。もう一つの、より重要な意味は、伊兵衛の人生の雨上がりです。これまで伊兵衛はうまく仕官が続かず、浪々の人生を送っているため、仕官の口を求めていました。
 

 
寺尾聰の剣術の強さが目を引きます。全然強そうに見えないのに、それでも無駄な動きをすることなく相手を倒すのですから、見事です。また、妻を演じた宮崎美子の佇まいや所作の美しさに惚れ惚れしました。私もあのようにありたいものですが、無理ですね。物語を通じて台詞ではなく存在で演技してきた彼女だからこそ、クライマックスで家老たちに啖呵を切るシーンが生きるのでしょう。
 

 

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才能はあるのに、うまく花開けない伊兵衛の姿が歯がゆく、応援したくなります。伊兵衛も藩主も互いに相手を気に入ったのに、仕官の話が流れることになった時、本当に悲しかったです。最後、近習たちも引き離す勢いで、藩主が一人で必死で伊兵衛たちを追うシーンでは、ほっとしました。映画は伊兵衛たちのその後を描かないまま終わるので、伊兵衛が仕官したのか、それともあえて断ったのかが気になりますが、結末をそれぞれ観客が好きに想像できるからこそ、かえって良いのかもしれません。
 
途中までは話の展開の遅さがまだるっこしかったですが、次第に映画に引き込まれました。しみじみ良さを味わえる映画だと思います。