魅惑のマンホール、可愛い単管バリケード

日本各地・世界各地のマンホール蓋を中心に、単管バリケードも紹介します。街路樹保護盤やピクトグラム、救命ブイなど、様々なカテゴリーの記事をアップします。

『騎士団長殺し:第2部 遷ろうメタファー編』(村上春樹)~ライスワークの積み重ねから、ライフワークが生まれる~

だらだら読んでいるのが次第に嫌になり、昨日・今日で集中して読む時間をとり、読了しました。感想は、第1部読了時のものと基本的には同じですが、もちろん付け加えることもあります。
 
 
第2部では騎士団長の以下のセリフが、心に残りました。
人が何かを考えるのをやめようと思って、考えるのをやめることは、ほとんど不可能だからだ。何かを考えるのをやめようと考えるのも考えのひとつであって、その考えを持っている限り、その何かもまた考えられているからだ。何かを考えるのをやめるためには、それをやめようと考えること自体をやめなくてはならない。
 

 

いささか長い引用になりましたが、至極納得しました。何か嫌なことがあると、私はそのことについて、ぐるぐる考えてしまう方です。考えること自体が無駄だと思い、考えないようにするのですが、ついついパソコンでソリティアをしながら考えてしまうことがよくあります。本当に無駄な時間です(ソリティアもそれほど解けないし)。嫌なことがあっても、すぱっと切り替えて、思考も時間も建設的なことに使えるようになりたいと思います。
 

 
あともう1つ感想を付け加えるなら、この物語は主人公の画家の姿を通じ、画家や小説家など表現に携わる者が、スランプから抜け出す過程を描いたのかなと思いました。あるいは、広い意味での人生の葛藤を描いたともいえるかもしれません。
 

 
ライスワーク(食べていくための仕事)に嫌気がさした人間が、ライフワーク(自分が納得のいく、やりたい仕事)をやろうとするのだけど、それが思いもよらない波紋を巻き起こしてしまう。すったもんだの末にライスワークに戻るのだけど、それは決して挫折ではなく、ライスワークの積み重ねから、いつの日かライフワークが生まれることに気づいたから……。
 

 

 
乱暴なまとめ方ですが、そういうメッセージを受け取ったようにも思います。そう考えると、この作品は、今の私が読むべき物語だったのかもしれません。